AVATAR
邦題 「アバター」 (2009)
【クレジット】
◆監督
ジェームズ・キャメロン
◆出演
サム・ワーシントン
ゾーイ・サルダナ
シガーニー・ウィーヴァー
「観るのではない。そこにいるのだ。」
【観る前に読む情報】
タイタニック、ターミネーター、エイリアンなどでおなじみのジェームズ・キャメロン監督の作品。興行収入は、全世界で歴代1位となる27億8800万ドルを獲得した。彼の代表作の1つになった作品と言えると思います。
この映画のキャッチコピー「観るのではない。そこにいるのだ。」 は3D映像について述べたものです。つまり「3Dで観ないとこの作品の本当の価値はわからない」ということです。3Dで観れる環境があるならぜひ3Dで鑑賞してください。
【ネタバレ感想】
「3Dについて」
今作は3D映画として視聴したが、その映像の質が驚くべき高さであった。ジェームズ・キャメロン監督はターミネーター2などでもCGを使ったスライム状の動く警官を特殊技術として効果的に演出に使っていたが、今回の3D画像も素晴らしい演出効果であったと言えると思う。
一般的に3D映像は例えばボールなどが画面を飛び出て視聴者が「当たる!」という様な立体感を際立たせた作品が多い。ジョーズなどでは画面の外に飛び出して噛み付こうとして視聴者がつい避けてしまったりするのが一般的な3D映像のイメージである。
しかし、今回の3Dはそういったギミック的なものではなかった。むしろ、飛び出る視覚効果はなく、微妙な立体感を出すことによって2次元である平面のスクリーンに遠近感を効果的に演出することであった。この立体感によって風景などが非常に綺麗で鮮明な映像になっていたと思う。
つまり3Dの一番の特徴は「立体感」というより「綺麗な映像」を作り出したことにあると言える。実際、2Dのバージョンも視聴したが、3Dのイメージが残っていたために非常に画質が粗いというイメージを持ってしまった。また、終盤の山場のトルクとバンシーに乗って人間と空中で戦うシーンはやはり臨場感が3Dとそうでないのと全然違い、同じ映画をカラーと白黒でみるのと同じぐらい2Dと3Dではギャップがあったと思う。
「シナリオやその他について」
ジェームズ・キャメロン監督の作品なので小難しい話ではなく分かりやすい大衆娯楽作品であることを期待したが期待に応えた良い作品であったと思う。ストーリーなどに「イマイチ」的な評価をする方がいますが「ジェームズ・キャメロン作品」だということを良くわかっているのかな?と思います。
ジェームズ・キャメロンはタイタニックなども含めて常に興行収入で記録を更新するヒットメーカーな監督です。興行収入で常に記録を更新するということはある意味、視聴者に対して「分かりやすい映画」であることは間違いないですね。そこで複雑な伏線を何本も仕込んだ作品などにするとやっぱり気楽に見れる作品にはなりませんね。
レストランで言えば繊細な和食の料亭や三ツ星のフレンチレストランではないんです。舌の肥えた食通を唸らせる素晴らしい料理ではないんです。みんな大好きなハンバーグがあるファミレスなんです。そして、そのファミレスが普通のファミレスと違って店内のレイアウトなどちょっと高級感があって気取ったワンランク上のファミレスなんですね。だからみんな殺到する。デートでも見に行けるし家族連れでも問題ない。映画好きなコアなファンもチェックしに行ってしまう。そういう監督なんです。
これだけの大予算でコケることなく間違いなくヒットさせる。そして作品の評価も高い。技術的な新しい取り組みも作品中に上手く取り込むことができる。監督によっては「あれだけ予算があればヒット作なんて誰でも作れる」と簡単に仰る監督もいますが、スポーツにしても競馬にしても優勝候補の本命を間違いなく優勝させるのも意外と難しいもので、本命を間違いなくヒットさせると言うのも立派な才能の一つですね。
俳優に関しては個人的にシガニー・ウィーバーがよかったと思う。エイリアンに出演した時と時代も役割も違った立場で演じていたが、シガニー・ウィーバーはやっぱりシガニー・ウィーバーであった。
スティーブン・ラングはいかにもと言う典型的な軍人役の大佐を演じでいたと思う。力こそ正義という絶対的な価値観で暴力で相手を従えると言うある意味アメリカという国家そのものが行っている外交や軍隊を具人化した姿と言えなくもないが、そこまでキャラ設定に深読みすることは、今作においてはないだろうとも思う。(分かりやすい役柄の方がシナリオもより容易に理解しやすくなる)
本作は歴代1位の27億ドルの興行収入を記録しただけあり多くの人を惹きつける十分なる魅力がある。一番売れた映画が一番素晴らしい映画であるとは言えないが、歴代一位という実績を使えば巷であふれる批判であれば簡単に吹き飛ばすぐらいのレベルの作品であることは間違いない。
(2016/05/17)