山猫

山猫

IL GATTOPARDO

 

邦題 「山猫」 (1963)

【クレジット】

監督 ルキノ・ヴィスコンティ
出演 バート・ランカスター
   アラン・ドロン
   クラウディア・カルディナーレ

【解説】

見たのは完全復元された183分版です。

とても難しい映画でした。水平線の彼方に沈んでいく夕陽をずっと浜辺に座って眺めている。周囲は徐々に夕暮れから夜に変化し始め寂しさを漂わせる。例えるならそんな映画です。

バート・ランカスターはシチリア島の公爵として威厳を保ちながら、移り変わっていく世の中に無常を感じる姿を良く演じていたと思う。アラン・ドロンは若い紳士でかっこよかった。クラウディア・カルディナーレは綺麗だった。ただ、ちょっと軽い感じがした。演技で品格を出し切れていなかった感じ。ただ、超綺麗でした。

舞踏会のシーンは圧巻です。1963年の映画なのかな?と思うぐらいの映像美でした。ヨーロッパ映画でないと出せない豪華さですね。

ストーリーはとても難しいですね。時代背景なども複雑だし作品中でダンスを踊って下さいと頼まれるシーンがありましたが、どういう意味があってどういう結果になったのか欧州人じゃないとわからないんじゃないのかなぁと思いました。

日本で言えば外人に時代劇をそのまま見せる感じがしますね。幕末に天皇と将軍家と薩摩と長州と会津との関係とか説明わざわざ必要ないですからね。

イタリアも第二次大戦までは国旗の真ん中にサヴォイア王家の紋章入りのイタリア国旗を使っているぐらいだから、制作された1968年当時は見た人たちはかなりストーリーにスッと入っていけるのかなという感じですよね。

舞踏会のシーンも注目されていますが、市民軍がオレンジ色の軍服をまとって戦うシーンなども映像美もさることながら叙述的な撮影で素晴らしいと思いました。騎兵隊の突撃なども騎兵の時代の終わりだなと感じさせる雰囲気でした。

監督は時代の流れに翻弄されたんだろうな。そんな哀愁を感じる映画でした。

(2015/06/03)

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