IN THE HEAT OF THE NIGHT
邦題 「夜の大捜査線」 (1967)
【クレジット】
監督 ノーマン・ジュイソン
主演 シドニー・ポワチエ
助演 ロッド・スタイガー
音楽 クインシー・ジョーンズ
主題歌 レイ・チャールズ
【解説】
南部のミシシッピー州が舞台の作品。黒人の人種差別と刑事ドラマをミックスさせた様な作品。
アメリカの南部は半ば独立国的な雰囲気もあって北部の常識が及ばない地域だということを強く認識させられた。黒人なら殺されても殺人事件自体にならず、仮になっても陪審員裁判でどうせ無罪になる。という恐ろしい地域です。
いまだに進化論を信じないエバンゲリスト達が住む地域だ。もちろんゲイやレズなんて同性愛もってのほかで神の道から外れたとして殺されても天罰ですねと誰も文句を言わない恐ろしい土地ですよ。
でもね、サザンホスピタリティーと言うもてなしの心も有名で、人間的にチャーミング(魅力的で)素晴らしい人が多く南部人を少し憧れ?の様なまなざしで「あの人すぐに南部人だってわかる。素敵ね!」と言ったカリフォルニア人を忘れられないですね。サザンホスピタリティー恐るべし!
とそんな南部の暗部を描く恐ろしい作品です。シドニー・ポワチエは主演なのになぜかロッド・スタイガーが主演男優賞を獲得。
最後に白人の署長が黒人の刑事のカバンを持って駅で列車を見送る。そこを出発点として逆算して作りこんだ映画だと思う。
いけ好かない二人が最終的に友情を深めて仲良くなるという話ではない。あくまで黒人は黒人、白人は白人としての節度のある接し方で対応している。ただし、二人は人種としての壁はあるがそれ以上に一人の人間としてお互いの関係を深めたのは見ていてよくわかった。
シドニー・ポワチエはスーツが似合う典型的なエスタブリッシュメントの黒人を演じた。オバマ大統領を見れば彼のキャラクターがスマートな黒人を見事に演じきっているのは一目瞭然だ。
ロッド・スタイガーは典型的な警察署の署長を務めた。我々がイメージするガムを噛む肥えた白人像はこういった俳優の演技の積み重ねの結果、出来上がったイメージであろう。その後に与えた影響は非常に大きい。
逃亡した容疑者が橋を一生懸命逃げた際にパトカーがゆっくりと追ったシーンは牧歌的というか田舎の風景というか本人は真剣に逃亡し、追跡しているが、ある種こっけいでペーソスが溢れていた。田舎町なんだなぁという感じだ。