Jungfrukallan
邦題 『処女の泉』 (1960)
【クレジット】
監督 イングマール・ベルイマン
【解説】
90分ほどの短めの作品。途中に伏線や脇道となるサイドストーリーがないので短いがメインストーリーはちゃんと構成されている。
特徴としてびっくりするぐらい宗教色が強いこと。時代劇ではないけど中世のスウェーデンが舞台であること。などモノクロ映画の効果も相まって強烈で個性的な作品であった。
あらすじとしては非常にシンプルで教会に出かけた少女が強姦され殺害、その犯人に父親が復讐するという内容である。
こんなに重い映画ってあるのかなと思うぐらい重苦しい映画で特に犯人達が両親家に何の因果か泊まりに来てからとにかく緊迫した雰囲気で話が進んでいく。息苦しくなるまでの俳優達の緊迫した表情と重厚な雰囲気は90分という短い時間ですら耐えがたいほどの緊張感を生み出し宗教とテーマとした作品により一層の重みを加える。
森に生きる中世の人々と天真爛漫な金髪の美少女、犯人を殺害する前に風呂に入って小枝で体を清める儀式をする父親は覚悟の上の犯行だが、殺害後に神に救いを求める愚かしさ。北欧神話とキリスト教が入りまじり宗教的に作品の理解が北欧や欧州人以外には非常に難解な作品となっている。
最後の泉のシーンは「spring」の翻訳からしたら「泉」というより「湧水」の方が適切であると感じた。ただし、脚本の元にあった寓話ではその後、湧水が泉となっているかもしれない。映画だけなら斜面から水が湧き出ただけなので泉ではないですよね。あのシーンはあまりに神様のご都合すぎて違和感を感じる日本人の人は多いはずです。
異世界の様な世界観の為にあまりに作品に解説をいれすぎてしまったが重い映画だということを含めてみれば見る価値のある大変に素晴らしい映画だと思います。他の映画監督もあの緊張感・緊迫感の出し方を見習って欲しいぐらいだと思います。
(2014/02/15)
[amazonjs asin="B00MT6Z6LQ" locale="JP" title="イングマール・ベルイマン 黄金期 Blu-ray BOX Part-1"]