ダンス・ウィズ・ウルブズ

ダンス・ウィズ・ウルブズ

DANCES WITH WOLVES

邦題 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」 (1991)

【クレジット】

<監督>
ケヴィン・コスナー

<出演>
ケヴィン・コスナー
メアリー・マクドネル

「男は狼と踊っていた-- 1864年、 風わたるフロンティアが 本当のアメリカだった。」

【観る前に読む情報】

アカデミー賞を作品賞を含む7部門で受賞した西部劇映画の傑作。南北戦争の動乱期である1863年のサウスダコタ州で白人の男性とインディアンのスー族との交流を描いた作品。

ケヴィン・コスナーは映画監督としてそれまで俳優として稼いでいた2200万ドル(約20億円)の私財を投入し自費で撮影をした。失敗すれば費用を回収できない危険の中でみごと映画は大ヒットし全世界で4億2400万ドル(420億円)の興行収入を記録した。

【ネタバレ感想】

この映画は異色の西部劇映画だと言われている。日本での勧善懲悪な水戸黄門などの時代劇と同じくアメリカでは西部劇の映画ではインディアンは悪役で白人たちを襲撃する恐ろしい悪い奴らというイメージである。

私が知る限り最初の西部劇映画であるジョン・フォードの「駅馬車」でも映画の最後に馬車はインディアンの襲撃にあい、必死の応戦をしているところを“正義”の騎兵隊によって助けられるというシーンがある。

そういった今までのイメージと異なりインディアン側の視点から白人に侵略される様を描いている。手帳を取りに戻るために砦に帰った際に、インディアンに間違われ問答無用で愛馬を射殺され更に非人道的な取り調べを受ける。

今までの西部劇ではインディアンがやる役柄である。更に護送されている主人公を助けるのはインディアン。見事な救出作戦であったが、これもインディアンと騎兵隊の役割があべこべである。

物語は壮大なアメリカの原風景を随所に挟み、非常に広大なスケールの作品となっている。スー族はラコタ語を話し、インディアンの居留地のテントなど歴史的な考証も素晴らしい。バッファローことタタンカの狩りのシーンも圧倒的な迫力で、大自然に生きるインディアンの逞しさを感じさせる。このシーンの撮影だけでも大変な労力と忍耐が必要であっただろう。

本作品は3時間という長編の映画である。通常、長編映画は「風と共に去りぬ」や「アラビアのロレンス」の様に幾つかの時代を経る一大叙事詩となる事が多い。主人公も青春時代や壮年時代、そして老年を迎えるなど各年代で山場のシーンが有ったりする中、この作品は凡そ南北戦争中の1~2年の出来事の中の作品である。

その中で主人公が濃密に体験したフロンティアでのインディアンと交流をまるで編集することなく1つのシーンとして描き出したドキュメンタリーの様な映画であった。

最後に、スー族内にいた青い目の白人「拳を握って立つ女」であるが、西部劇映画では探索者など見てもわかるがインディアンに囚われたり、保護されている白人女性は結構普通に見られる。それと差別表現にばかり厳密に気にする人がいるが、この映画内で差別を気にするべきことは、インディアン=悪 白人=善 といったテンプレート式な固定観念であろう。

作品中からインディアンへの敬意は十分に感じることができたし、そこら辺の厳密なインディアンの文化や風習などの考証は映画でなくディスカバリーやヒストリーチャンネルなどのドキュメンタリー番組が担当すべき守備範囲であると思う。

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