BONNIE AND CLYD
邦題 「俺たちに明日はない」(1967)
【クレジット】
<製作>
ウォーレン・ベイティ
<監督>
アーサー・ペン
<出演>
ウォーレン・ベイティ
フェイ・ダナウェイ
「明日なき2人の青春を描いて 史上に輝く愛の名作! いまださめやらぬ ニュー・プリントの興奮が 鮮烈な感動を呼び いま甦る衝撃のラスト!」
【観る前に読む情報】
アメリカン・ニューシネマの先駆けとなる作品。時代背景は1930年代の大恐慌時代のアメリカ中西部。大不況の中で銀行強盗を繰り返した実在のコンビ、ボニー&クライドを描いた作品。
アカデミー賞では10部門にノミネートされ、惜しくも作品賞を逃したが2部門を受賞。
ワーナーは作品に期待をしていなかったため、プロデューサーで主演も兼ねたウォーレン・ベイティに収益の40%を配分する異例の歩合制の契約をしていた。その為、映画が5000万ドルを超える大ヒットを飛ばすとベイティも巨万の富を得ることになった。なお、ウォーレン・ベイティはシャーリー・マクレーンの実弟。
【ネタバレ感想】
この映画の最も有名なシーンと言えば最後の機関銃によるボニーとクライドの殺害シーンだろう。とにかく圧倒的な銃の乱射で問答無用に蜂の巣にされる二人。そして、殺害されたあとに現れる突然の「THE END」の文字。
「え?これで終わり」というあっけない幕切れ。「はいはい、人間死んだら終わり。だから映像も続ける必要ないからこれでお終いだよ」という製作者の声が聞こえてきそうである。
アメリカン・ニューシネマの先駆けとなる作品であるが、銀行強盗という反体制のアウトロー、救いのないエンディング、性描写や暴力シーンなど1960年までの古き良きアメリカ映画から一線を画す作品となっている。ベトナム戦争に突入し、自らを見失う混迷のアメリカという時代が作品にも如実に影響を与えている。
現在の我々からすると当たり前である表現や描写が当時としては画期的や掟破りであったわけである。「タクシー・ドライバー」にしろ「俺たちに明日はない」にしろアメリカン・ニューシネマの特徴の一つである銃撃による生々しい(グロテスクな)シーンが行われたのがこの映画が史上初であると考えるとこの映画のインパクトが当時どれほどの衝撃であったのか想像がつくと思う。
見ていて思ったのは最終的な結末が途中から救いがない展開であることがわかった為に「どんな終わり方になるのか」ということより「どのように終わらせるのか」という方に注意が向いてしまった。
あと、二人が銃撃で負傷して意識を失った際に二人がボニー&クライドとわかっていて彼らに水や食料を与えたくキャンプ生活をしていた人のシーンなどを見ると実在の彼らが人殺しにも関わらず、当時のアメリカでねずみ小僧的な人気があり犯罪者だとわかっていながら匿った人達がいたという話を思い出してしまった。
また、ボニーが母親に会いたいと言って母親を含めた彼女の親族に会い、彼女の親族が誰も警察に通報しなかったり、犯罪を咎めることがなかった不思議なシーンもありそこら辺はアメリカ人なら誰でも知っている話だったりするのかちょっと説明がないとわからなかった。
作品的な面白さに加え映画史における重要な位置付けとなるこの作品は必見の映画であろう。
2016/10/15
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