ALL THAT JAZZ
邦題 「オール・ザット・ジャズ」(1979)
【クレジット】
監督 ボブ・フォッシー
出演 ロイ・シャイダー
【観る前に読む情報】
ミュージカル映画「キャバレー」でお馴染みのボブ・フォッシー監督の自伝的ミュージカル映画。カンヌ映画祭では影武者と共に最高賞であるパルムドールを受賞した。
フェリーニの映画「8 1/2」の影響を受けた映画だということを事前に知って見るとこの映画を理解しやすい補助線となる。
ちなみに「all that jazz」というタイトルは「ジャズの全て」という意味ではなく「何でもアリ!」とか「好き勝手に」という意味になるので「ジャズを使ったミュージカル映画」と勘違いしない様に注意してください。好き勝手で何でもアリな映画なんです、これ。
【ネタバレ感想】
この作品は好き嫌いが別れる作品だと思う。カンヌ映画祭も前年の78年のブリキの太鼓に続いてまた難しい映画をパルムドールに選んだものだと思う。例えるならボブ・フォッシーを友人として受け入れられるか否か?という感じで人それぞれの好みに分かれると思う。
作品はサイケデリックな一風変わったミュージカル映画で作品の最初は全くわけがわからない。我慢してみていくと登場人物も落ち着いてきて、最終的に死ぬ前に病院のベットから自分の生涯を走馬灯のように回想するんだと理解して終わる。
最後に死ぬのか一命を取りとめるのかわからなかったが、遺体をビニールケースにチャックで閉められるという無機質で味気ない演出で亡くなったことを表現する。
ボブ・フォッシーの自伝的であるというが、この監督の世間に対する人を食ったような態度が作品全体にアリアリと滲み出ていて人生の最後で何を思っているのが非常に気になる。
私としてはあまりこの映画には高い評価が与えられない。物凄い傑作だという人もいるが、美術や芸術の専門家の人や映画関係の内輪の人からの評価が高いように感じ、わかる人にはわかる映画になっていると思う。もちろん私はわかる人の部類に入るほど高尚な人物ではないので何度も見返してみたいとはおもいませんね。
(2016/07/09)